「最悪」奥田 英朗
書店にふと積んであった文庫本。「犯罪小説」の帯に引き寄せられるようにして手に取る。
この季節は「このミステリーがすごい!2005年版」の季節なんだけど、今の「このミス」に載ってるのはハードカバーばかりで、保管にも持ち運びにも不便この上ない。
そんなわけで、1999年このミス7位っていう帯にも、がっちり心をつかまれてしまい購入。
「最悪」奥田 英朗

おもしろいです。やっぱり「このミス」にはずれはない、と思う。3人、3様の最悪な状況が著者の巧みな筆致で描かれていて、めちゃくちゃ共感しました。
私は、世の中がバラバラになればいいのに、って心のどこかで思いながら、仕事に押しつぶされた過去を持ちつつ、でもリスクとって大成するってステキよね、って夢を抱きつつ、平凡にサラリーマンとして生きています。
なので、主人公の一人の会社経営者の人の「会社を大きくしたい」でも、それにはリスクがあって、でも家族の幸せもあるし、取引先とのこともあるし、という心のうめきに共感。リスクとるってたいへんだよね。彼の押しつぶされ具合は仕事に押しつぶされた自分に重なるところがある。あとローンを背負ってる自分にも。
もう一人の銀行員のお姉さんは単純な仕事を単純にやっていて、刺激の無い毎日が「つまらない」って言っていて、そこが共感。そう、なんか私、1日1日生きていくのが精一杯なのに、刺激なく感じるんだよね。前は刺激あった気がするなあ。今は刺激があるかと思えば自分のミスだったり。ふー。
チンピラの少年は世の中ってところを諦めちゃってるところが、潔くていい。私もここまで思い切れたら。どんなにか。ってその先に待ち受けてるのはいいものでもないんだろうけど。(だから、こんな小説を読むんだろうねえ)
小説も「犯罪小説」と銘打ってるけど、それがメインテーマかっていうとそうでもないし、「このミス」に選ばれたからといって、別にミステリーや謎解きがあるってわけでもない。サイコロがささいなところからコロコロを悪い目をむいて、どんどん転がっていくように追いつめられていく、まさに「最悪」に行く感じに、その筆致の巧みさに、この小説の骨頂はあるのだと思う。
とりあえず、次作「邪魔」を読んでみようと思った。











「最悪」奥田英朗
タイトル:最悪
著者 :奥田英朗
出版社 :講談社
読書期間:2005/11/15 – 2005/11/18
お勧め度:★★★★
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