2005年03月29日
PENCKのテンキーは無断使用
最近、他人の著作物の使用に関して、「え?そうなんですか。何にも書いてないのは勝手に使っていいんだと思ってました」という答えをされて脱力をした、という話を「義務教育で法律を教えて欲しい 」で書きました。著作物って基本的には原作者に帰属して他人のものなので、契約書を結んだり、明示的に許諾されていると証明できない限り無断で使っちゃだめなんです。
ということを思いながら、ニュースをチェックしてたら、こんなニュースを見つけました。
auの人気デザイン端末で、夫も持ってるPENCKのテンキーが、実は他人がオンラインで配布しているフォントファイルの無断使用だったらしいです。
(※:よほど芸術的でない限り、フォントに著作物性がないのは、なにかの判例のとおりですが、ここでは、フォントが芸術的であるかどうかを検討しません。なぜかというと、アナログなフォントをデジタル化してコンピューター上のファイルに記憶させる行為自体に創作性があるとして、フォントファイルに著作権があると認める見解をとるからです。フォントをデジタル化したフォントファイルに著作権があるかどうかについて言及した書籍はよく知らないのですが、まあそういうことで。KDDIもデザイナーもそこらへんについては争ってないみたいですし。どなたたか何か知ってたらご連絡ください)
で、最近のこういうオンラインフォントやソフトウェアって結構作者は著作権とかに敏感なので、readmeに使用許諾条件が書いてあったりします。まあ、法務としては「それを確認してね」っていうしかないわけです。
(※:「著作物性のないフォントを、ある一定の規則従ってデジタル化しただけなので、フォントファイルに著作物性がない」という見解をとった場合には、readmeというテキストを同梱する行為が、フォントファイル使用者を拘束するか、については争いのあるところではないかと思います。けれども、ここではフォントをデジタル化したフォントファイルには著作物性がある、という見解をとっていますので、無視します。ちなみに、市販のフォントファイルはシュリンクラップ契約になってますので、この議論はあたりません)
readmeに何が書いてあったかというと、
『印刷物、WEBページ等での御使用は自由ですが、このフォントを、作者の許可なく販売したり、営利目的の製品に添付することを禁じます。』
つまり、使っていいのは印刷物とWebページだけ。(※「等」が何を指してるかは不明確なので無視します。「製品に添付」といえるかどうかは、フォントファイル自体を添付していず、フォントを用いているにすぎないあたり争える気がしてきましたが、「等」が不明確なのでやはりここでは許諾無し=著作権違反って見解で)、他の目的に使用しようと思ったら、作者に連絡をとらなければいけないはず。
しかし、KDDIはこの連絡を全くとってなかったそうです。理由として、以下が報道されてます。
デザイン担当者本人が「PENCK」のテンキーに適したフォントを探して「Major Kong」を使用し、auの担当者に『テンキーの数字は手書きフォントです』と説明したという。担当者はこのプレゼンを受け、デザイン担当者による手書きフォントであると誤解したという。
ありえねー!!!!しかも、うちもあんまり他人事じゃない。
外注ってこういうことがあるから怖い。社内デザインならともかく、外注先だと管理がしようがない。担当者がいちいち「他人の著作物は使ってませんか?」って確認しなきゃいけないのかな。そういうのってデザインした人が自己申告するものだと思ってたけど違うの?
契約書になんて「全部あなたの著作権よね?違ったらその損害は全部損害賠償してね。」書いてみたところで、いざというときにまず謝罪したり、アクションしたりしなきゃいけないのは発売した会社だし、デザインの外注先って結構個人だったりするから「責任とってください」って言っても、お金を払ってもらえるかどうかあやしいし。
こういうリスクヘッジってどうやってやったらいいんだろう。
(*:050328追記:フォント自体の著作権や、readmeファイルの有効性、「等」の解釈について追記)
投稿者 michy : 2005年03月29日 20:09 :
法務っぽい
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