メールは証拠が残るから便利

Posted by michy on 6月 11, 2005 in 法務っぽい

英文契約書関連の本をいくつか読んでます。先輩の机の上にあった本は難しくてわけがわからない。講習会に行った講師の本は、講習会で言ってないことを探すので大変だ。自分が知りたいことだけを、わかりやすく、でも自分にあった程度に飛ばし気味で、っていう本って探すのが難しいですね。
自分にあった本がないときの、私の解決方法は「多読」なので、頑張って読みます。しかし、頑張って読むための体力ないのが難点です。睡眠時間もとらないとダメだし。読まなくてはいけない本が家で山積みになっています。今読んでいる英文契約書関連の本はそのうちレビューを書くのでよかったら楽しみに待っていてください。(むしろそれをモチベーションに頑張る!)
英文契約書関連の本を読んでて思ったのですが、英文契約書のストラテジーはビジネスでも役に立ちますね。日本語であっても、法務として取り組む以上、そもそも契約書に対する姿勢とはそういうものでなくてはいけなかったのかもしれませんが、今に至って気づきました。
具体的に役に立った英文契約のストラテジーが何かというと、「口頭で相手に伝える」というのは、「相手がこっちに注意を引きつけてくれる」や「柔らかい雰囲気がする」「物事を進めるのが早く進む」ということではいいのですが、「証拠が残らない」ということでは、全然全く駄目ってことです。
「証拠を残す?同じ会社の人間同士で?何の為に?」と昔は思っていたのですが、自分が本当に信頼できる人以外、証拠を残しておかないと、結局言った言わないの言い合いのレベルにみんな落ちちゃうんですよね。(信頼できる人はそういうわけのわからないことは言ってこないか言ってきても、「あのとき言ったよね?」というと分かってくれる)そして、自分が年下であったり力の弱い人間であったりすればするほど、その証拠の能力は落ちるんです。
だから、自分が「言ったと証明できない場合のリスク」(作業が増えるとか、給料が減るとか)を負いたくないと思った場合や、「○○さんにも言ったと思うんですけど」という説明をもう一回したくない場合や(転送すればOK。もしくはコピペ)、上司に仕事したってアピールしたい場合や(これは邪道)、多くの人に名時内容を一度に伝えたい場合には、メールもすることが必要。
多くは「口頭で伝えたほうが分かり安かった」り、「そのほうがきつく聞こえなかった」り、相手が理解しているかどうかは確認できたりするので、口頭や電話でも伝えるんだけど、その後、電話で言った同じことをメールでもいうのが大事!他にも「あれ?この人ってどこまで理解してるんだっけ?どこから説明すべき?」って思ったこととか、「相手のメールのこの表現どう言ってるのかよくわからないよなー」って確認事項が出て来たときは電話で確認して、「○○とお伺い致しました。ありがとうござます」ってメールに書いておくと相手が言ったことも証拠に残せて便利です。
わけわかんないこと言われて、「前言ったよね!?」と思ったときは、メールをすかさず引用しつつ、「前も申し上げたんですけど」って言えばOK。全然言ってないことを「法務が言ったから」って言われそうになったら「全然言ってないよね?」と転送してあげればOK。偉い人から「部下の○○から法務が契約書作るの遅いから仕事進まないって聞いてるよ」って言われたら、○○さん宛のメールには、必ずその人の上司や偉い人をCCにいれておいて、「○○については検討されましたでしょうか?」と催促ニュアンスを出しておけばOK。
ただ、もちろん、「自分にとって都合が悪いことも証拠が残っちゃう!」っていう問題はあります。他部署や他の人に転送されたらイヤなことを自分が言ってたら、それも転送されちゃうかもしれない。
でも、思ったんです。そうやって気を使うのって私にはあってない。人によって態度を使い分けるとか、嘘をついてみるとか、無理です。間違ってたら謝るから、それで許してって感じ。しかも、私の理解としてはビジネスパーソンとしては、いつも社長に出しても恥ずかしくないくらいのメールを書いてないとおかしいんです。だって、部署を代表したり、会社を代表したりしてるわけだから。ときどき相手の会社の担当者のほうが自分の上司よりも頼みやすいと思ってる人がいるんですが、それはスジを間違えてる!!!自分の会社のことは自分の会社内で片付けるべき!!友達なら友達ベースで何か頼むのはアリだと思いますが。
なんでこうやって主張するかというと、そのあたり分かってない人がいて、一度会っただけとかなのに、特に断りもなくとんちんかんなことを頼まれることが多いのです。法務ってそういう部署なのでしょうか…。
またまた余談ですが、時々法務が出した、会社の論理を押し通しただけの社内向けのメールを、社外にそのまま転送して、「どうですか?」って聞く人がいます。相手方法務として私が受け取っちゃってびっくりです。いや、法務のメールを転送してくれた、相手の会社のあなたさーーー。それはあなたの会社の問題でしょ。あなたの会社の利益を最大にするべくあなたの会社の法務がコメントしてるんでしょ。うちはうちの会社の利益を最大にしたいから、相手の法務がコメント見えたら、一番下の妥協ラインをごり押しします。そりゃそうでしょ。
反対に自分のコメントが転送されて、びっくりすることがあります。あのね、そんな法務が「ここまでならゆずれます」とか、「他社さんにはここまで譲ったことがありますけど、実際問題現場ではどうですか?」って言ってるコメントをそのまま転送したら、自社に不利になるに決まってるじゃん!そこを交渉するのがあなたの仕事でしょ。なにやってんのさ。ふー。現場(社内クライアント)にわかりにくいメールを書くとこうなりがちなので、わかりやすく、うちの利益を考えるとね、と書いてあげたり、相手方にそのまま出していい部分は代書してあげるのがポイント。忙しくて手間を省くと逆効果が多いです。
英文契約って異文化同士のやりとりだったり交渉が多かったりするので、私のこの場面と同じような「書面にして何か残しておかないと相手が理解したか、やってくれるかどうか不安なの」という気持ちによって、膨大な書面が作成されます。そういう交渉過程のメモ書きをLOI(Letter of Intent)とかMOU(Memorrudum of Understanding)と言ったりします。両者で署名もしたりします。これさえあれば、相手がやってくれないときには、「○○にそう書いたよね?」と言えば、相手が確認してくれて、慌ててやってくれるから便利。最悪、もめにもめて裁判になっても、こういう議事録っぽいのがあれば証拠になるかもしれないし。
でも、そういう交渉過程の文書になると、一方には都合がいいと一方には都合の悪い場合が多く、「ああ、でもこの部分を誰かに広められたり、裁判で証拠にされたり困るの。どーしよー」と相手方は困っているというジレンマがあります。日本語は交渉過程ではお互いの主張のやりとりをするだけだし、お互い捺印済みの部署をとりかわしたりしないし、文書自体も比較的短いので、まだこういうジレンマは少ないです。英文契約書ではこの問題をどうにか解決しようと、「この書面は何も法的効力を持ちません」と書いてみたりといった解決策を試みようとするわけなんですが、いざ裁判ってなると、なんて書いてようと書面として残っている以上は証拠能力が認められたりするそうです。
つまり、「残したくないことは書くな」、これ以外はないと。誰かが承認しないと駄目なんです、って問題だったら「subject to XX’s approval」って明確に書いておけ、と。
ね、私の仕事における対人関係のポリシーと似てませんか?結構、今のEメールが普及した昨今の仕事ストラテジーと英文契約書の考え方は似てると思います。


(050513)読みにくかったので推敲しました。

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2 Comments

  • depo より:

    >「この書面は何も法的効力を持ちません」と書いてみたり
    海外の会社のメールで署名としてこのような文面が付けられているのがありますが、日本のメールでは見た事ありまへんな。

  • michy より:

    …。そんなこと書いてあるメールがあるんですね。そんなビジネス活動に全く法的に意味がないわけないじゃん!その人は仕事として何をしているのか…。
    よく法務部のメールでは「Confidential」な情報が入ってるかもよ、って署名に書いてあるのをみかけますね。

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