「契約書をみろ!」「いや、ソースを読め!」

Posted by michy on 6月 19, 2005 in 法務っぽい

法務としてのエゴを言わせてもらうと、法務は「法務に相談に来る前に契約書を読んでこい。日本語(or英語←法務のエゴでは読めてしかるべき、となっている)で書いてあるでしょ」と思っている、と思う。
しかしながら、夫やエンジニアとのメールや会話のやりとりをみる限り、一部の契約書も読める非常に希少価値の高いエンジニアを除き、エンジニアは「こんな契約書用語で書いてあるもの読めるか!文書投げるから解説してくれ!それが法務の仕事じゃないのか!しかも、英語なんてエンジニア用語の英語ならともかく、法務の使う法律英語なんて読めるか。Wheres Clauseってなんやねん!なんで大文字で始まる言葉があるんやねん」と思っているように思える。
一言で言うなら「そんなに契約書読めというなら、お前がソースコードを見ろ!」と。
私の究極的な理想論でいうと、法務はソースコードを見るべきだし、エンジニアは契約書を読むべきだと思う。でも、それは私がどっちも見れる人間だから言ってる理屈だけで、それは他人の能力や興味に対して無理解だな、とも思う。(おごり高ぶりたくってこう述べているつもりはないのです。そう聞こえたら申し訳ないです。私は両方みれる代わりに両方中途半端だし、理系の理屈が分からない人への理解は欠けていると思うし、体力はあきれるほどないし、まあそういうのは人それぞれだと思ってます)
極論すれば、法務が「いや、だって契約書だって英語だし」って主張してるレベルで、ソースコードだって英語だと思うんだよね。そんなアセンブラじゃないんだし、Cとかの高級言語で書いている限りhuman readableじゃん。しかも、最近はもっと可読性を高めたスクリプトとかあるし。見たことの無い言語だって、基本的なプログラムの構造さえ理解していれば、そのプログラムの実現したいことは分かるし、しかもプログラムなんてコメントアウトもしてあるし、基本的な概念は分かると思う。

#include studio.h
printf(”hellow! world?n”);

プログラミングができないので例えが貧弱で申し訳ないのでですが、このプログラムの意味するところなんて、「stdio.h」ってファイルをソースコードをバイナリにするときにインクルードして(まあ、これは決まり文句ですが)、hellow! world?nをプリントアウトすること、ってその程度なら英語さえ分かれば誰でも分かると思うし、その程度の理解だけである程度プログラムって理解できるのに!と理系な私は思う。?nが改行コードなんてトリビアレベルの知識でいいじゃん。(実際にこの程度の知識も業務に焼くに立つときがあります)
契約書だって、そんなに難しくないレベルの英語で理解可能ではないかと思っていたりします。下は契約書というよりは、GNU Public Licenseの一文ですが、
(前略)
3. You may copy and distribute the Program (or a work based on it, under Section 2) in object code or executable form under the terms of Sections 1 and 2 above provided that you also do one of the following:
a) Accompany it with the complete corresponding machine-readable source code, which must be distributed under the terms of Sections 1 and 2 above on a medium customarily used for software interchange; or,
(後略)
from GNU GEneral Public License

なんかとある条件(いろいろあるっぽい)のもとにバイナリで配布できると、で、そのうちの一つがcomplete corresponding machine-readable souce codeをaccompanyさせることくらいは読んで頂いて、それに対する感触を考えてから法務とのミーティングとかに望んでくれると嬉しいな、と法務に属する私としては思うわけなんですが…。
え?そんなのできるわけないって?すみません…。
なんでこんなできもしないことを言い出すんだこの女は、と思ってると思うので、こんなことを主張してる理由を説明すると、お互いの業務に対する理解ってその程度くらいはないと意思疎通ができないし、お互いの業務に対して責任のとりようがないじゃないというのがあるんです。
だって、法務のいい分とエンジニアのいい分を聞くと、明らかにビジネス上重要な判断をお互いに相手に押し付け合っていて、その溝に対して誰も何の責任も取らないんです!お互いの部署で、お互いの中で「相手が悪いよね」って言って終わってる。それって組織としてビジネスとしてなに?おかしくない?
法務の理論を聞くと、法務は法的リスクを解説する部署ではあるけれども、ビジネスリスクをとったりできる部署ではないから、何かリスクをとらなくてはいけないことがあったら全部ビジネス部門(現場)の了解がいるからそんなことはやっていない。また、法務はビジネスをする部門ではないから(間接部門)、「契約書をよく読むとどうなるの?」って問い合わせには答えるし一読しても分からないリスクは指摘するけれども、実際の契約書はビジネス部門が読んで、ビジネス部門が守ってくれなくては意味が無い。だって法務部門はビジネス部門に質問をしたり、契約書に書いてあるレベルでしかその部門の業務内容や商品構成を理解できない。実際にビジネスをやり、他社とのやりとりをし、商品を作ったり売ったりしているのはビジネス部門である。だから、ビジネス部門が主体的に契約書を読んでそれに従って業務を行うべき。契約書に書いてあることをを守らず、法務が法的にみて内容に疑問があるときに法務にも問い合わせをしないのは現場が悪いし、また考え方にもよるけどそれはビジネス部門がリスクをとってるってことだから法務が口出しすべき筋合いではない。
で、翻って私の想像するエンジニアの理論というと、契約書なんて日本語とも思えないような言語で書いてあるものを、いくら読んでみようとしても、内容がまったくつかめない。読もうとすると、ものすごい工数を必要とする。ソースコードをエンジニアが書いているように、契約書も法務が書くものだし、読むものだろう。相手から来た契約書は意味不明で内容も理解できないけど、法務に転送すると何かしら「正しい」契約書にして返送してくれるはずだから、それを先方に転送すればいいはずだ。業務内容が不明?僕の使ってる用語はエンジニア業界では普通の用語だし、ググれば出てくる用語なんだけど、なんで聞いてくるの?同じ会社なんだし、いろんな部署の仕事みてるんだから、会社のことなんて法務のほうが分かってるんじゃないの?ともかく、契約書を法務に送ってみると、「○○と書いてありますけど、問題ありませんか?」と言われたよ。問題あるかないかって、僕も下っ端だし自分の部署でどういう運用しているのか分からないよ。法務のほうが昔どうしてたとか詳しいんじゃないの?昔の契約書みてみてよ。それと同じにすればいんじゃないかなー。守れるかどうか自分もよく分からないけど。なんでそんなこと聞いてくるの。「正しい」契約書を作るのって法務の仕事じゃないの?
お互いに、「契約書に何を書くか」っていうビジネスとして根幹のことを押しつけあってっちゃ、まともなビジネスも契約書もできるわけないじゃん!
どっちの言い分もここに書いてあるのは、少し過激に書いてあって、たいていはどちらかの部門の人がいい人でこことは少し違う考え方をしているために意思疎通が成り立ったり、間に管理系の部署の人が入ってるために意思疎通が成り立ったり(もしくは余計こんがらがったり)するんだけど、お互いにバリバリこういう考え方だったりすると、すっごく大きな責任がブラックスポットに落ちちゃってると思う。
こういうのは、とても日本的な曖昧さが全く意味なく発揮されている部分だと思う。そういうわけで、法務部門はソースコードを読んで、エンジニアは契約書を読みましょう、というのが極論だけど私のマイブームなのでした。

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7 Comments

  • まんぼ より:

    「NDA 印紙」の件でお世話になったお礼にこちらも一言。
    エンジニアは「法的リスク」なんてものを学ばないし、「ビジネスリスク」は担当者レベルではどーでもいー話ですから、あんまり気にしないですよね。
    でも、営業もひどくないですか? 以前受託システム開発の下請けで入った仕事で、元請の営業(スカポンタン)が賠償金青天井で契約してきやがって「刺してやろうか?」ってマヂで思いました。
    しかもお客様は大手消費者金融…機会損失は賠償請求できない、という話は知ってるものの「1日8億だからね」と言われた時にはさすがにクラッと来ました。

  • michy より:

    コメントありがとうございます。そーなんですよね。みんな「誰かが考えてるだろ」と思ってるんですよね。法務が考えてあげるっていうのも一つの対策なんですけど、そうすると会社が官僚主義になる気がしてなんだかそれはイヤ。法務が考えるための手段を提供してあげるだけで、リスクをとるかどうかを考えるべきはビジネス部門だと思うのです。
    実は、営業の仕事は担当したことがないので分からないんですよー。しかも私は理系なので、きっと営業の人の心は分からないんじゃないかと思ったり。損害賠償金青天井…。システム系で限度額なしはツライですね。トラブルあったらすぐに会社潰れちゃいそうですよね…。

  • まんぼ より:

    >> トラブルあったらすぐに会社潰れちゃいそうですよね…。
    まさにその通りです! 常識的に考えたら到底受け入れられない内容を、熟考することなく OKしてしまうのは、売上だけに目が行ってしまっててリスクを考えてない証拠ですから。
    件の案件では、僕は合資会社の無限責任社員として仕事を引き受けていたので、毎日背中に包丁を突き立てられているような気分でやってました。
    一方のスカポンタンはサラリーマンですから、仮に会社が賠償責任を負うことになったとしても、大抵は自分の責任ではありません。仮に給料を下げられることがあったとしても(普通なら)弁済義務もないですから転職してしまえば済む話です。
    結局、彼はあえて胃が痛くなる交渉(=自分にとってのリスク)を避け、譲歩する道(=会社にとってのリスク)を選んでいた、というわけです。
    まぁ、日本ではこうしたリスクについての教育がほとんど行われてないですから、仕方がないのかも知れませんが(この辺は頭脳派と呼ばれるヤクザの方が勤勉だと思いませんか?)。
    ちなみに、僕にとってのテキストはコミック「オフィス北極星」でした。

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  • 通りすがり より:

    > Wheres Clauseってなんやねん!
    ホンマやわ。Whereas Clauseやんけ。

  • michy より:

    おっと。かなり痛いタイポでした。発見ありがとうございます。
    そして、完璧な播州弁での返答ありがとうございます♪

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