「悪女について」 有吉 佐和子
「悪女について」

本屋で「文庫特集!」のようなコーナーにあって、三日ほど逡巡してみたものの、結局買ってしまった本。
「小悪魔」ってキーワードは、最近はやりっぽく、女性向けの恋愛本を見ても「小悪魔」って言葉が目を引きます。また、悪女ものもはやりのようで、ドラマ化された「黒革の手帖」や、映画化される「嫌われ松子の一生」(in this blog)などなど、悪女と呼ばれる女性が登場するものがよく見受けられます。
私も悪女ものが好きで、手段を選ばずに成功していく女性の物語をおもしろおかしく楽しんでいました。そんな中、この本を発見したら買わないわけにはいけません。
購入して読んでみたら、文書も上手で構成もおもしろいです。「悪女」とされる女性について、27人の関係者にインタビューすることから、彼女がどのように生きてきたのかを綴ります。同じような人が出てくることもなく、一人の話を読み進める毎に「ああ、あの話に出て来たこれはこれだったのね!」ということがあって、どんどん読み進められてしまいます。口語調でとても読みやすいです。
ただ、そもそもの彼女は何故死んだのかという大きな謎が、あっけないというか「え?」という謎だったのが残念です。連載小説だったようなので、話を重ねてきたものの収まりがつかなくなってしまったのでしょうか。
また、読んでいるときは気づかなかったのですが、読み終わって少し嫌なことを思い出しました。
主人公は、他の悪女ものと同じく自分の前に立ちふさがるものをなんとしても排除します。他の悪女ものだと、排除する手段が犯罪だったりして、「まあ、こんなことないわよね。お話ね」と軽く楽しめたりするのですが、このお話では、その手段は既成事実を勝手に作って嘘をつくことだったりして、やけにリアリティがあります…。しかも、主人公自身嘘を信じてそうな、ちょっと病的な気配があります…。
ここまではいかないけど、こういう女性いる!!!
私、こういう病的な嘘つきで、その人にとって邪魔にならない限りはいい人だけど、いったん邪魔になると豹変する人にかかわってしまってひどい目にあったことある…。いやなこと思い出してしまった…。
その悪女さんの、お仕事には一生懸命なあたりとか、きちんと男性を愛してそうなあたりとか、病弱なあたりとか、犬が好きなあたりとか、美しいものが好きなあたりとか、親近感がわく場所もいくつかあったのですが、その手練手管にはびっくりしました。
女だね。










