「犯人に告ぐ」雫井脩介
「犯人に告ぐ」
雫井脩介
アルプスものを除いて雫井脩介は読破しているのですが、「火の粉」を除いて、個人的にイマイチや「うーん」と思うものが多かったです。「犯人に告ぐ」はどっちなんだろうと思いつつも、昨年の「このミステリーがすごい」の8位にもランクインしてるし、期待していました。同好の士の「あんまり期待しないで読むといいですよ」や「うーん、まあまあ」という絶賛ではない評判が気になってはいたんですが。
読んでみたら、冒頭の序章のような事件を除いて、私の好みではありませんでした。残念です。文章も上手だし、何が私にとってダメだったんだろーと考えたのですが、このかたの小説って他でも感じたのですが、イマイチ意外性がないように思うんです。もちろん、それなりに展開があったりするのですが、どれもこれも推理小説をよく読んでいる立場からすると、「ああ、まあ、そうなるよねえ」という程度の展開なのです。
「犯人に告ぐ」も、冒頭の事件は短くまとめられていてある程度スピード感があるし、展開もあるのですが、本編の事件の展開が遅い遅い…。そして、このかたの文体はさくっと読める文体というよりは緻密でいろんなことを考えさせるような文体なので、読むのに時間がかかって、これまた体感的な展開の遅さに拍車をかけている気がします。
もちろん、展開の遅さを補うように他の事件らしきものも用意されています。実は私はこっちのほうが本編より気にかかっていたりしました。しかし、その終わりかたも少しあっさりで味気なく、もうちょっと深追いして欲しかったなあ、と思いました。
そして、本編のラストはもっとあっさりしていて、「え?これで終わり?マジ?」と思ってしまいました。もうちょっとびっくりとか一発逆転が飛び出すかと思っていたんですけれども。色んな要素はよく書けていて、「つまらなかった?」と聞かれるとそこまでではないのですが、読後に「で?だから?」と思ってしまったことはいなめません。これってミステリーなのかなー。
「火の粉」
雫井脩介
この本を読むなら、「火の粉」を読むほうがおすすめです。同じ文体もホラーちっくな展開では冴え渡る感じで、その他法の執行についても考えさせられる良作だと思いました。後輩に貸してみましたが、絶賛していました。ちなみに、ミステリではなくホラーとして読むのがおすすめです。










