日本では「違法」と「問題がある」の違いが認識されなにくいのでは

Posted by michy on 2月 4, 2006 in 妄想、バトン、思いつき, 法務っぽい

「ライブドア事件をめぐる報道」「ライブドア事件をめぐる報道・続報」にいろいろコメントをいただいて、ふと考えたのが「日本って『違法』ってことと『問題がある』の違いがあまり認識されていない、言語化の難しい国家なのかな」ってことです。
それというのも、私としては「違法ではないことを違法なように報道するってどういうこと!?」という法務に携わる一員として、ただそれだけが言いたかったし、論点をそこにだけおいて書いたつもりでした。「適法」であっても「問題がある」ことはぜひぜひ自由に指摘すべき、と言いたかったのです。しかし、「いやいや、そうはいってもこういう問題があるよ」というご指摘のコメントをいただいてしまったんです。
しかも、自分もそこだけに力点をおいたつもりで書いてたのに、「どう考えても適法」ではなく「どう考えても自由」なんて書いてしまったりして、自主規制があったら適法でも自由じゃないじゃん!と後から訂正をしました。
法務の国のろじゃあの「ライブドアの件の西尾幹二氏の論稿に47thさんのエントリーが引用されてます」を読んで知ったのですが、西尾氏もふぉーりん・あとにーの憂鬱の「ライブドア本体(単体)粉飾疑惑の気になるところ」を引用して次のような文書を書かれているようです。

・・・氏がブログ(「ふぉ~りん・あとにーの憂鬱」)に書いていたが、ライブドアの戦略が「妥当かどうか」といわれれば首を傾けるが、「違法かどうか」は別の話である。「『社会が石を投げるから、罰を与えていい』のなら、法律とかはいらない」は、一歩退いて考える人の冷静な言葉であると思った。
(西尾幹二「誰がホリエモンに石を投げられるのか」諸君2006年3月号132頁より引用)

日本社会で、日本語で、「違法である」ことと、「問題がない」(=「妥当である」)ことの区別をきちんとつけて、みんなにわかるように誤解を受けないような文書を書くのって難しいなあ、と思いました。
その原因ってなにかな、と考えてみたのですが、「義務教育で法律を教えて欲しい」でも書いたのですが、すっごく抽象的な憲法をのぞいて法律というものは義務教育では学習しない、日本の教育の影響があるのではないかと思います。
法治国家なのに法律がどうなっていて、どういう仕組みで人を裁いているのかわからない人が多い。「悪いこと、問題になることさえしなければ関係ないこと」と思って暮らしている人が多い。すごく基本的な「契約は口頭でも成立する」ってことや、「著作権は原始的に発生する」ってことだけでも知らない人が多い。
だから、その二つを区別するための言葉や脳の仕組みが出来ていかないのではないかなーと思います。こういう教育を日本でも、もっとするようになればいいなあ、刑事訴訟法における裁判員制度はそのいい前段階だなあ、と思います。でも、教育が先のほうがいいかな、とちょっと前後が逆な気もしますけど。


(060205)
「そうか。じゃあ法律を勉強しよう」と思った人には伊藤真の入門書が分かりやすくてオススメです。

伊藤真の入門書には知的財産法がないのですが、知的財産立国を目指す日本としては著作権くらいは押さえておかないといけないので、この本もオススメです。

実例もわかりやすく、当社も社費で購入しました。

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4 Comments

  • wac より:

    話題の投稿を読んでいないので恐縮ですが・・・
    よくある法律と倫理の違いの問題でしょうか
    たしかに多くの倫理違反は法律違反とされているために混同が起こるのも仕方ないかもしれませんね。
    とはいえ倫理違反でありながら法律違反とされていないものはありますよね(たとえば近親相姦とか)。
    今回の事件で、株式分割にかかる件はそういったものの一つということですね。実は私はその話を知ったときには、市場のありかたなんてことは思い浮かばず、「うまいやり方があるものだ」と感心してしまいましたが(笑

  • ろじゃあ より:

    TBありがとございます。
    この話は思ったより難しい問題ですね。
    チョイ前に民事の事例について有罪か無罪かという選択を迫ってたテレビ番組がありましたが(^^;)、それでも10年前より法律問題というのは社会的に注目を浴びるようになってきたと思うのです。
    ところが伝えるほうの方々は法学部出身とは限りませんし、金融実務をご存知とも限らない。でも何か伝えなきゃいけないし番組の尺は限られてる・・・テレビでフジテレビ問題のときにすでに報道内容には相当混乱があったわけで・・・。でもあれは一応経済関係の法律問題としても商法(民事)の枠組みでの白黒の問題だったからまだよかったと思うのです。
    ところが今回は商法も関係しそうだし証取法も関係しそうだけど・・・その領域での刑事罰関係が問題とされた点が問題を複雑にしてます。
    ただでさえ問題が複雑で法的解釈についても争いがあり得る証取法や商法の領域の問題をその枠組みでの刑事の問題として白黒について書くことになるわけで・・・尺の問題を考えるとそりゃ・・・舌足らずというか・・・なんじゃこりゃという内容も出てくるでしょうなあ・・・というところで。
    肝心なのは送り手と受け手がそのことを十分理解しているかということです。
    その意味でmichyさんの問題提起というのは意味があると思いますよ。
    また遊びにきますね。

  • 匿名 より:

    >>wacさん
    はい、そうです〜。そう考えています。難しい問題だと思うので、自分の日本語が不安だったのですが、wacさんには伝わったようで嬉しいです。
    >>ろじゃあさん
    確かに、マスコミの報道に対して「なにこれ!」と思っていましたが、マスコミも「いきなりこんな社会になっても!助けてー」というところなのかもしれません。最近の法律の問題のバラエティは「法律に興味を集めた」という点ではとてもいいと思うんですけど、「法律ってこんな変なことが!」みたいな、少しズレた路線になっているのではないかと少し気にしています。きちんと法律の意義を学ぶこととエンタテイメント性を両立できるようなテレビ番組が出来ないですかねー。フジテレビやテレビ東京なんて得意そうだと思うんですけどね。
    またよろしくお願いします。

  • 欧米と日本の比較からみる時間の概念と法律の仕組みの関連とこれからの日本の歩むべき道

    「日本では「違法」と「問題がある」の違いが認識されないくいのでは」を書いた後に、「あ、そういえばあれを考えたときは『そういえば英米は判例法の国で、どっちか…

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