企業内法務部門の付加価値って?

Posted by michy on 3月 14, 2006 in 法務っぽい

最近、体調や気分が戻ったからか、休職前に「私の組織はどうしてこうなのかしら」と憤りを感じていたことについて考えることが多くなりました。どんな組織にも完璧なんてことはないし、組織に所属するものとして、自分がストレスに考えることがあるなら、原因を分析してちょっとずつ努力して改善していくべきだとは思うし、自分にとって害がないなら「まあ、そういうもんだ」とあきらめるってことも大事だと思うのですが、その消化のためにもブログにでも書いて考えてみようかな、と思います。
上場企業法務マンサバイバルの「企業法務マンの生きる道l」と法務の国のろじゃあの「企業法務マンの生きる道?」になんとなく影響を受けて書いてます。よかったらこちらもご覧ください。
私の組織の問題だけかもしれないのですが、どうも法務部門における予防法務ってことについての評価がものすごく低い気がするんです。やってきた契約書コメント案件に対して、訴訟やトラブルになったときのの手間なんてあんまり考えずに、関連する契約書にもあたらずに、目の前の契約書をみて、適当に契約書にコメントをつけて、さっと返して、情報共有のための記録につけることもなく、淡々と契約書を処理することが評価される組織って私はなんだかむなしいです。
それっていきなり外部の弁護士でも簡単にできちゃうじゃないですか。企業内法務部門の付加価値ってなに!?って思うんです。
社内で法務部員を抱えてる価値って、これから自社がどういう風に進むか、どういう業務を行っているかっていう自社業務についての知識や、今までの契約書で関連する契約書はどうだからどういう制限があるとか、昔こういうトラブルがあったからここはこういう条項になっているとか、この条項を呑んでいいかどうかはどこに話を通すべきとか、今の目の前の契約書を片付けるだけではなくて企業の将来を考えてもっと先のトラブルのコストのことまで考えれる、ってこととか、その他とにかく「自社のことを知っていて、自社の将来のことを考えられる」ってことだと思うんです。
後々絶対にトラブルになりそうなことは一生懸命現場に譲るとどんな大変なことが起こるか説明して譲らないようにしてみたりとか、きちんと確認すべき部署に確認したか確かめてみたりとか(もしくは連絡してあげたりとか)、契約書を処理する前に過去の類似する契約書のやりとりをみてみて自分がパッとみたときには気づいていないけど前任者は気づいてたことろについてはコメントしてみるとか、後輩のためにそこらへんをまとめてみるとか、そんな、私には大事で、企業内に法務部門がある付加価値だと考えている時間がかかることをやってみても、右から左に何も考えずに数を処理している人と同じ基準、「処理した契約書数」だけで、評価を受けてるのかな、と思うとなんだかむなしいです。実態は分からないですが、「中身をみてよ!」と思います。
私が企業内法務部門の付加価値だと信じれていることってただの自己満足なのかな、って思ってるみることもあるんですけど、弁護士が増えてくる中で企業の中にいることに付加価値を見いだそうとするなら絶対に重要なことだと思います。
そういうわけで、復帰したら、英語の契約書もやってみたいけど、もっとみんなのサポートをして、業務に必要とされるような知識をまとめて、企業内に法務を抱えてることの意味をもっと宣伝したいと思うのでした。

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9 Comments

  • raccoon より:

    michyの言うところの「付加価値」は、つまり「ナレッジ」とか「ノウハウ」とか、そういう部分だーな。
    そういうのを暗黙知(って分かるよな?)から形式知に落とす、ってのは立派な付加価値だし、それって企業の競争力の源泉。
    従ってそれを評価しない評価体系は明らかにおかしい。
    決して自己満足じゃないと思うぞ。

  • ろじゃあ より:

    TBありがとうございます。
    TB返そうとしたらなんか付けられないみたい(TT)。
    評価の話は確かに法務ではまだまだ検討していただかないと担当者はやってられんよなあ・・・って話はあると思います。
    この話は企業の個体差だけでなく業態差もかなり関係してくると思いますのでややこしいけど・・・放置されていいという理屈にはならない訳で。
    処理した契約書数だけで評価なんてそもそも法務部の存在意義を誤解しているだけでなく企業内のコンプライアンスの位置づけに対して疑問を感じさせるのに十分な証拠だとおもいます。
    すぐには採りあげられませんが評価の話は再開した「法務部いろいろ」でも触れていくつもりですのでコメントしてください。

  • 西村 より:

    michyさん、こんばんわ。
    そのせつはありがとうございました。
    電子レンジ大活躍中です!
    予防法務の評価が低い気がすると書かれた点、
    僕の勤務する会社でも似た傾向はあり、
    その背景を次のように考えたことがあります。
    以前情報セキュリティの改善を担当していたときに
    いくら投資の必要性について
    役員を説得しようとしてもNOだったのが、
    事故が発生した途端にGOがでたという
    経験をしました。
    企業法務部担当者の提示するリスクが
    現実化するまでは、
    リスク認識のない人にとっては、
    数を処理している法務部担当者も、
    質を大事にしている法務部担当者も、
    同じに見えるのだと思います。
    (むしろ数をこなせるほうが効率的にみえる)
    (当時の上司はある種事故発生を願っていました・・・)
    濫用的買収対策も、
    狂牛病対策も、
    地震対策も、
    耐震構造偽装対策も、
    契約リスク対策も、
    事前にある程度わかってはいたが、
    事件が発生してから対応している点では、
    上記の情報セキュリティの話と
    構造は同じだと思います。
    これを前提にすると、
    法務部担当者のとるべき態度は、
    消極的にいえば、
    (事件が起こるまで)時を待ちましょう、や、
    (事件が起こっている)
    別のテーマを担当しましょう、ですが、
    積極的にいえば、
    (自分のリスク認識を点検して正しければ、)
    責任者を説得しよう!
    てことになりますね。
    弁護士さんはまだまだ
    帰納法の発想のない
    机上理論派が多いですから、
    michyさんのいうとおり、
    現場情報や実例をもとにした
    総合的な観点からみた
    説得力あるリスク評価の提示は、
    責任者からみて、
    法務部の付加価値のひとつだと思います。

  • 匿名 より:

    はじめまして。この度法務部に配属になりました。
    貴女のサイト大変参考になりましした。ところで質問なのですが、
    私は営業を数年やって法務部に配属になりました。
    法務に配属の人のジョブローテーションって次は何処行くのでしょう?
    ずっと法務を歩むんでしょうか?それとも、人事とか総務とか、管理畑
    を歩むんでしょうか。今20代でふと自分の将来が気になりました。
    会社によって少し違うでしょうけど、知っている範囲で教えて頂けませんか?

  • michy より:

    >>racoonさん
    バシッと言ってもらえると励みになります。racoonさんを見習って、評価面談のときには上司にビシッと直訴してみることにします。
    >>ろじゃあさん
    TBできないですか。なんででしょう。blogは難しいですね。
    上の上のほうの人はコンプライアンスって大切だよね、って思ってるようなのですが、それが下の評価体系まで落ちて来てない気がします。
    確かに予防法務って評価しようとすると、本当にコメントの中身までみないといけないから、評価する人の手間も知識もすごく必要で、そういう人材ってなかなかいないよなー、とは思うので気持ちは分からなくはないですが、やっぱりツライ!
    「法務部いろいろ」楽しみしています。
    >>西村さん
    確かに、事故が起こるとみなさん態度が変わりますね。
    前の前の上司あたりも「一度痛い目をみればいい」っていうのが口癖の人でした。私もときどき、比較的当社にダメージの少ない形で、痛い目にあって欲しいな、と思うことがあります^^;;;;;
    でも、痛い目が大きくでるか小さくできるかは分からないわけで、そういう態度って法務部員としてどうなの!と思います。というわけで、頑張って責任者を説得してみますです。
    >>名無しさん
    はじめまして!コメントありがとうございます。知ってる限りでは、法務の人はたいてい最初から法務で、キャリアパスとしてもみなさん同じ会社の他部署への異動よりは、他の会社の法務部への転職を考えているように思えます。
    法務は専門性が強いのと、今は需要のある分野なので、会社もあえて他部署に配属したがらないのではないかと思います。
    知ってる限りでは、経営のほうのお仕事に転職されたかたがいらっしゃいますが、また法務に戻ったという噂を聞きました。
    こんなところで参考になりますでしょうか。また何かありましたら気軽に質問してくださいね♪

  • makotel より:

    はじめまして。
    いつもうんうんとうなずきながらブログを拝見しています。
    私は、法務部から営業の管理部門に異動になりました。
    一般に法務ってその熟成具合から、
    臨床、予防、戦略、(経営)の法務の役割があると思います。
     私の会社もいまだに臨床法務的な視点にとどまり、予防法務についての意識が低いと感じます。
    ちなみに、私は、「上司の説得」というより、いかに「会社を変えていくか」また「周りを動かすか」という視点から次の方法をとりました。
    1.契約業務のプロセスの見直し
    2.プレリーガル機能担当部署の立ち上げ
    ・適当につけた名前ですが、以外にプレリーガルという名前がふさわしい業務です。
     ちなみに下記の様なものです。
    (1)ビジネスモデルの枠組みの法的な実現性のチェックやオプション案の提示
    (2)契約書の起案
    (3)契約の建付けをしやすいビジネスモデルの提案
    ちなみにコンサルをつかって、ビジネスプロセスマネジメント、プロセスのビジュアル化、ナレッジ共有、全体最適化などの概念をもって、プロジェクト体制を組んで強引に上司を動かしている状況です。
    まだプロジェクトは終わっていませんが、社内の予防法務への意識喚起が少しづつ図れてきています。
    なかなか大変な道のりですが、がんばるしかないかなあという感じです。

  • michy より:

    >>makotel
    おお、かっこいいですねー。頑張ってる人の声を聞くとみるとはげみになります。
    やはり、どこでもまだまだ予防法務ってなかなか大変なのですね。
    読み返してみて、私のは予防法務までもいかない契約書処理の段階の愚痴だったなあ、と思うにつけ、makotelさんの取り組みに頭が下がる思いです。
    ともにがんばらせてください!

  • sat より:

    非常に面白いテーマで、こういうことを真剣に考えている人が
    いるのだと思うと、とっても勇気が湧きますし、私ももっと
    仕事を頑張ろうという気になります。

    これからもどうかよろしくお願いいたします。

    私もブログをつくりましたので、今後とも色々と企業法務について
    一緒に考えさせていただければと思います
    よろしくお願いいたします

  • michy より:

    >>satさん
    コメントありがとうございます。少しお役にたてたみたいで、嬉しいです。
    ただ、私は自分のキャパを無視し、突き詰めすぎところがあったので、sat様もときどきは気楽になさってください。
    ブログのご紹介もありがとうございます。

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