2007年01月29日
政治家は言葉が命
政治家は言葉が命で、言葉で闘うのが政治家の仕事だと思います。小泉さんは「パフォーマンスだけだ」というような批判を時々されるけど、極論を言えば政治家って発言やパフォーマンスが命で、そのことによって人を動かすのが仕事ではないのかな、と思います。
「言葉が混乱したら放っておいてはいけない。何事も言葉次第なのだから」
カール・クラウス
「ルワンダ大虐殺」レヴェリアン・ルラングァより
そんな私が最近「えーー!!」と思ってしまった出来事です。
柳沢厚労相の「産む機械」発言
柳沢伯夫厚生労働相は27日、島根県松江市での講演で少子化の解消策として「産む機械、装置の数は決まっちゃった。あとは1人頭で(たくさん産むように)頑張ってもらうしかない」と述べ、(中略)厚労相はその場ですぐに「機械と言ってごめんなさい」などと謝罪。「産む役目の人」と言い直した。
「女性は「産む機械」、すぐ言い直し謝罪・柳沢厚労相が講演で」Nikkei-netより
ごめんなさい。言い直しても何が変わってるのかよく分かりません。もっとも、訂正するにしても、どんなに思ってても政治家なら公の場でこんなことを言っちゃダメだと思います。
「産むことができる人」なら分かります。でも、「女性」だけに対して子供を産むことが「役目」だから「頑張って」という思想を何故もてるのか意味がわかりません。そもそも卵子が精子に出会わないと子供はできないし、子供が産まれても育てられなきゃ意味ないし、それが女性だけの役目かというと夫婦なり、ひいては社会全体の役目で、それが不足しているから産めないんじゃないかという発想がないように聞こえてしまいます。
この発言を女性蔑視と批判している政党もあるようですが、そういう問題ではなく、言葉から見え隠れする「少子化の原因は女性が頑張っていないからだ」という発想が時代にあっていないうえに、訂正してもまったくそのあたりを考慮した訂正をしていないのが問題に思えます。
そして、「決まっちゃった」や「しかない」というのもわかりません。移民を受け入れれば「産む役目の人」は増えると思います。
他にも解決方法や根本問題があっても、考えたりせずに、ただひたすらに他人に責任を押し付ければ楽だよねー、とイヤミなことを思いました。
久間章生防衛相の「米は根回し分からない」発言
久間章生防衛相は27日、長崎県諫早市で講演し、米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の名護市への移設を巡り米国の対応を批判した。「米国は『政府同士が決めたのだからやったらよい』と言うが、知事がうんと言わないとできない」と指摘。海の埋め立てには知事の許可が必要なことに触れ、「知事の意見を聞き入れながらやっていかなければならない。米国は根回しというのが分からない」と語った。
「「米は根回し分からない」防衛相が普天間移設で批判」Nikkei-netより
地方分権って重要だから「知事の許可が必要」という論理が成り立つことは分かるけど、「守れない約束をする」ことがどれほどひどいことか分かっていないのか、と思います。そして、約束が守れないことを理解できないのを相手にせいにするのは最低なことだし、それこそ「根回しが足りない」んじゃないかと思います。
知事の合意(=根回し)が必要なら、国同士で決める前に根回しをしとくべきだと思います。もしくは政府同士が合意するときに、「日本は米国と違ってそういうシステムである」ということを説明して、紙に残るレベルでAssumption(=条件)をつけておくべきでしょう。実はAssumptionはあるけれども、久間さんが知らないだけかもしれませんが。
どっちにしろ、「米は根回しが分からない」というけれども、この記事から久間さんの理解をみる限り、日本もアメリカに「知事の承認が必要」ということについて相手が分かるまで説明(=根回し)してないし、相手の政治プロセスで尊重される形で残してないじゃん、何で他国のせいにできるの?と私には思えてしまいます。
言葉が命の職業の人が、相手に併せてその場その場でいい加減な言葉を使っていてそれに痛痒を感じないとしたら信用を失うよ、と思います。
投稿者 michy : 2007年01月29日 10:23 :
時事
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コメント
根回し?しますよ。普通に海外の方との協議でも。
こちらは日本の上の人と協議をしながら、あちらも先方の方と協議をしながら、という感じで話は合意に至ります。
合意するまで別の方向から矢を射る人も双方いますが、それぞれ、納得させながら・・・。
だから、知事の了解とかそんな話は当然先方にも伝わっているはずです(この件は、合意にいたるまで日本国内は、大騒ぎしていたと記憶しています。)
トップ(あるいはそれに準じる方)同士の握手の前にどれだけ日本人もアメリカ人を含む外国人もどれだけ根回ししているか・・・。
アメリカ人は根回しをしないというのなら、そういう地面を固める作業抜きで大臣本人にやらしたらいいんじゃないですか。
事務方からみたら、「あぁそう。頭ええ人はちがいますなぁ。頭のええ人はうちらには分からへんこと考えはるし。これからはうちら抜きでやってくれはらしませんやろか(何故か京都弁)」という感じですかね。
柳沢さんの発言は何も言いません。あえていうなら、さっきの京都弁をコピーさせてくれはらしまへんやろか。
Posted by: 生まれは「なかぎょう」です。 : 2007年01月29日 16:03
>>生まれは「なかぎょう」です。さん
ご苦労の話、ありがとうございます。官僚の苦労というか、感じていることについての情報の発信があんまりないのは悲しいなあ、と思っていたので、とても嬉しかったです!
そして、私は日本独特の「暗黙の了解」系が分からないので、京都弁にはガクガクブルブルしてしまいました。突き放された感がなんともいえず怖いです。
>>だから、知事の了解とかそんな話は当然先方にも伝わっているはずです
残念ながら「知ってる」ことと「約束に盛り込む」ことは違うと思うので、日本的な「ソースを集めれば分かったはずだろ。そもそも説明をした」理論はあんまり通用しないと思います。「我々が知っているという証拠は何だ?説明をしたという証拠は?たとえあったとして、我々は納得していないから書面にも盛り込んでいない」と言われればおしまいなので。
このエントリを書いたら少しポジティブになって、「そうか。この二人を阿部さんは組閣で入れざるを得なかったけど、クビにしたかったからそのままにしておいて失言をさせたのかしら」と黒いことを考えるようになりました。
Posted by: michy : 2007年01月29日 22:26
いや、米国との協議に併せて、防衛施設庁と沖縄県との間で散々協議していたから、当時の沖縄県知事も現行のV字滑走路の案に合意していたでしょう。
そもそも、この案は根回しという独自の文化を誇る日本から提案し、押しまくった案ですから。
この防衛大臣の発言を見ると、日本の根回しは機能していないのではないかと思います。
Posted by: 生まれは「なかぎょう」です。 : 2007年01月30日 06:56
無知で申し訳なのですが、古き良き日本の根回し機能からいくと、今回のように途中で知事が交代した場合ってどうなるんでしょう。人が代わったので「根回しリセット」かと思っていました。なので、解決方法としては米国に「但し、知事が反対した場合はこの限りではなく〜」などという合意を呑ませるしかない、と思っていました。
誰が当選するかは住民の判断なので仕方ないかなー、と思って。
Posted by: michy : 2007年01月30日 07:16
現沖縄県知事の仲井真さんは自民党の推薦を受けて当選した知事ですから(野党候補は糸数さん)、ちゃぶ台返しをしたら、今度は自民党の組織が機能していないとみなされて、もっと大変なことになると思います。
先のコメントで言うのを忘れていましたが、私は官僚になるほど賢くはありません。対外交渉も民・民又は民・外国政府(日本政府も絡む)の経験しかありません。
Posted by: 生まれは「なかぎょう」です。 : 2007年01月30日 19:58
結果的には仲井真さんですが、糸数さんが当選する可能性もあったわけなので、それはAssumptionをいれておくべきかと思います。
また、いくら自民公明の推薦を受けたといえでも、知事は己の信念に従って県民のためを考えて政治を行うべきなのではないかと思う(それが地方分権の意味では)ので、「推薦を受けたから唯々諾々を従う」かどうかは分からないのではないかと…。票差も「大差」ってほどではなかったわけで、それを受けて仲井真さんの考えも変わるかもしれませんし。
…うん?そっか。「古き良き根回し」だと、自民党が推薦した候補が当選したらちゃぶ台は返せないし、そのまますぐ進むはずだから、「日本の根回しは機能していない」ってことなんですね。やっと分かりました。
官僚のかたと勘違いしていて申し訳ありません。私の早とちりでした。
Posted by: michy : 2007年01月31日 10:26
