「地獄のババぬき 」上甲宣之

Posted by michy on 11月 14, 2007 in フィクション

最近、映画化の発表されたB級テイストの楽しいゲーム風ミステリ(?)「そのケータイはXX(エクスクロスで)」(in this blogの続編です。私は正直「二作目」というのは「一作目のおもしろさは一作目ゆえであり、モチネタが切れたり、時間が切れたりしてクオリティが落ちるんじゃ」と身構えてしまいます。しかし、前作を読んでの期待を裏切らなかい出来でした。上甲宣之さんは何者なんでしょう。これからも期待してしまいます。

前回は「これはゲームっぽい」と思いましたが、今回はそれに加えて、アレです、「カイジ」っぽいです。私が何を述べるより、目次が素晴らしいので抜き書きしておきます。

序章

地獄のババぬきは、生中継で



第一章

しよりのケータイは、夜行バスで

「お届け物は、丑刻に」

第二章

弥生のケータイは、深夜のタクシーの中で

「続・お届け物は、丑刻に」

第三章

愛子のケータイは鳴る暇もなく

「お届け物は、丑刻に・完結編」

第四章

新ルールゴースト追加、全国ライブ放送対決 ババぬき、最強決定戦!

「DEAL THE CARD  対決!しより 対 愛子、弥生」

最終章

兵(ツワモノ)どもが、抜けたあと

「そのババぬきはJX(ジャッククロス)で」

もう、この漂うB級テイストがなんともいえず、ノックアウトです。なんでババぬきなのかわかんないし、しかも何で生中継なうえに最強決定戦なのかと。ゴーストってルールはなんなんだ。DEAL THE CARDってそれはいったい。そして、今回も出て来るキーワード「ケータイ」。ババぬきとケータイは何がどうなるのか、いや、もう、気になって仕方ありません。そして、「地獄」に「丑刻」とおどろおどろしくB級っぽいキーワードも気になって仕方がないです。「そのケータイはXXで」でを彷彿とさせる最終章の題名の「そのババぬきはJXで」も、「作者は分かってるなあ」と思いましたよ。

いや、もう、本屋でこの目次をてしまったのが、私にとって「負け」でした。知人と前作の映画化の話題をしていて、「XXの続編が出てるのは知ってるんですけど、本屋にキープしてるんです(←ただ単に本屋に売ってることを日々確認しているだけ)」という話をしました。そしたら、気になってしまって、いつものように本屋に行ったときに「そういえば話題に出たなあ」とこの目次をみてしまったんです。購入せずにはいられませんでした。少し前に自分で口に出した本屋にキープって話は何なんだったのかと小一時間って話ですよ、本当に。

解説から読む派なので、最初に読んだ解説に「途中で一旦やめる、なんてことは、よほど強い意志がないと難しい、圧倒的なパワーが本書には溢れています」と書いてあったものの、真面目にとりあわなかったのもダメでした。「ははは。またまた〜。一緒に「硝子のハンマー 」貴志祐介Fake」五十嵐貴久を買ったし、今は眠いから、一気通読なんて出来ないよー」なんて思って読み始めてしまいましたよ。

私にとって一緒に買った二作品は私にとって「これだけを読んだまま日常生活を送るのには不安な作品」です。貴志祐介はホラーで人間が怖そうな作品が多いし、五十嵐貴久も「交渉人」を読んだ限りでは真面目そうな印象で、なんかどーも考えさせられそうな気配が漂います。私の好みとしては考えさせられる作品もいいんですが、その後にはやっぱりなんか別なものを読んでスッキリサッパリ、アホアホな気分に戻りたい訳なんです。本作はそういう実に重要な役目を担っているわけなので、最初に読んでしまうわけにはいかないんですよ!

あれ?気がついたら読み終わって、同じ「途中で一旦やめる、なんてことは〜」という解説の文書を読んでいる自分がいましたよ。

おかしい。さっき読んだ文書を何故また読んでるんだ。ループしてるぞ。まるで折り返し運転の電車に乗っているときに眠り込んでしまって同じ駅に戻って来たみたいだ。いや、それより問題は、さっき、この文書に対して「またまたー」って思ったはずだ。だから読み始めたんだよな?ううむ。何で一回りしてまた解説を読んで、「ああ、確かに一気通読しちゃうよね〜」って感想が変わってるんだ?

…もう既に私のことなど誰も信用してないと思うんですが、「また信用してみよう」なんてことも思わないでください。いや本当に。

この作品は、「地獄のババぬき」という題名の通りババぬきに重点をおいた作品です。「カイジ」は作品内ゲームであるところの限定ジャンケンでの命(?自由?)を賭けた思考バトルがおもしろいわけですが、この作品はそのゲームが「ババぬき」になります。そこで、「弁護士だから頭脳戦で負けるわけはないわ」と言い出す相手だの、「カードゲームにはキャリアは必要だ。カードゲームを子供のゲームだと思ってない外国人の僕は、キミたちとはキャリアが違う」と言い出す相手だの、「難しいことわかんない」というコギャル風の相手だの、霊媒師を名乗る相手だの、マジシャンの技を駆使する相手だのが登場して、「先の読み合い」合せんが繰り広げられるなるわけです。そして、一作目と同様、そのゲームも一筋ナワでいくわけではありません。「アレ?なんかこの描写や言い方が気になるなあ。あ、またある。そもそも最初の、あの話って」なんて思っていると、ヤられます。

登場人物も前作から続いてしより、愛子、弥生、物部さんあたりが出てきます。時系列的にも前作より後になります。前作はザッピングの視点が二人でしたが、今回はゲームのようにバージョンアップ(?)して、しより、愛子、弥生3人の視点を織り交ぜる形になっていて、よりおもしろくって他人の視点が気になる形になっています。少しだけ物部さん視点もあります。

また、キーワードであるところのケータイのバージョンアップも見逃せないです。前作ではメールと通話くらいしか出来ないようなケータイだった気がするのですが、今回出て来る機種は、FMチューナー機能、Iモーションメール、テレビ電話機能などなど内蔵で、しかも、イヤホンマイクも登場するという活用されっぷりです。ケータイ好きとしても見逃せません。ハイ。

前作はホラーっぽく怖いところも多かったですが、今作は基本的に思考モノなので、ほとんど怖くないです。前作の怖さを100とすれば今作は5くらいでした。ただ、ホラーテイストがまったくないわけではないですし、少しだけの説教っぽさがあったりするので、そういうのが少しでも含まれているのが全然ダメな人はダメかもです。私は、嫌いではない感じの説教っぽさだし、ホラーも説教っぽさも苦手でも無視できる分量でした。

ちなみに、マメ情報として、前作のXXはケータイコミックになっていると帯で知ったのですが、コレが豪華です。なんとキャラクター原案がMadara―魍魎戦記摩陀羅」の田島昭宇で、制作がプロダクション I.Gです。IGがモバイルコミックって話は初めて聞いたし、オフィシャルサイトの作品紹介を見ても初っぽくて、「そこらへん狙ってる!?もしかして、ゲームもできちゃう!?どうしよ〜、発表されてないけど、IGが作ってたりする、なんてオチだったら!」と気になっている私です。

そして、一緒に買った二作品をまだ読まずに随分前に買った「ギャングスター・レッスン」垣根涼介に心が動きつつある私ですが、この作品に期待していたスッキリサッパリ、アホアホな気分に戻る方法を思いつきましたよ。実は三作目(XXゼロ 呪催眠カーズ 」上甲宣之)があるので、それを読めばいいんですよ。我ながら素晴らしい解決方法です。やっぱり私は天才に違いない。

という話を前述のXXの話をした知人にしてみたら、私が三作目をすぐにでも購入するのかと思われてしまいました。そ、そんな買っておいておたら読んじゃうから買わないに決まってますよ。私はこれっぽちも自分の意思の力なんて信用してません。今度こそ本当に本屋にキープしておきます。え?冒頭のエピソードを思い出した?気のせいじゃないですかね。

最後に、この作品で一番笑ってしまった文です。

(前略)上質の推理小説では絶対にあり得ない展開だ。

自分でいっちゃうところが好きです。

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