ヴァイオリンがキレイな村

Posted by michy on 1月 13, 2008 in 音楽

ホルン吹きの鍼灸師さんがコントラバス弾きの夫と何事かしゃべっていました。バックミュージックは小沢征爾の指揮による2002年のベルリンフィルのニューイヤーコンサートでした。

夫「それは××(日本国内)でのことなんですけど」

「へー、××ですか。実は僕、あのあたりは住んでいたことがあるんですよー」

夫「そうなんですか?」

「ええ。○○村のあたりです。ヴァイオリンがキレイなんですよねー

ヴァイオリンがキレイ?ヴァイオリンがキレイな場所?ヴァイオリンの音色がキレイというわけではなく、ヴァイオリンがキレイってことはヴァイオリン自体の外観がキレイってこと!?

ヴァイオリンって町中を歩いていて、そんなによく目にするものだったのでしょうか。音楽大学などが近くにあれば生徒が持っているのを目にするのでしょうか。いや、しかし、それでも見れるのは、ケースに入ったヴァイオリンのはずです。気温の一定しない場所や直射日光のあたる場所に剥き出しのバイオリンを好んで置くヴァイオリン弾きの話は聞いたことがありません。

(どうでもいいですが、私はぼーっとしていてこのような季節に暖房の効いた室内から寒空の元に剥き出しのままのビオラを持って出ようとして、「割れる!」と必死の形相で止められた経験があります。私以外は誰もやらないと思いますが危険なのでやめましょう)

私は混乱しましたが、何か私が誤解しているんだろうと思いました。

しかし、

夫「ヴァイオリンがキレイですよねー

…夫もリピートしている。これはどういうことだ!?

二人して同じ台詞を呟くからには、そこは本当に「ヴァイオリンがキレイ」で有名な場所のようです。しかし、いったいぜんたいどのような条件が整えば、土地を指して「ヴァイオリンがキレイですよねー」と人は感嘆するのでしょう。そもそも「村」っていうくらいだから、きっと、田舎のように思います。公費で建てたコンサートホールにスタンウェイのピアノが置いてあるなんていう話ならともかく、日本の田舎に愛でるほどの台数のヴァイオリンがあるという話はあまり聞いたことがありません。きっと、何らかの理由で、そこにヴァイオリンやヴァイオリン弾きが集まるモチベーションがあるに違い有りません。

…うーんうーん、そこにはバイオリンの仕上げの上手な職人さんが住んでいて、ヴァイオリン弾きが楽器を預けにくるのかしら?いやいや、でも、そんなんじゃ、その職人さんの家の中でだけヴァイオリンが見れるだけだろうし…。うーんうーん、「どうやら、あの村に行くとヴァイオリンの外観がキレイになる」という言い伝えがあって、ヴァイオリン弾きはその場所にヴァイオリンを持って集まり、そこではその言い伝えによってキレイになった状態のヴァイオリンばっかり見れるので無数のキレイななヴァイオリンが観察されることになり、それを人は「あの村はヴァイオリンがキレイ」と言うように……うーんうーんヨーロッパのあたりならともかく、日本にいきなりそんな場所が出現して、そこが本当に霊験新たかで、本当にヴァイオリン弾きが集まって来るという設定に大いなる無理があるような…

不思議に思って私は聞いてみました。

私「ヴァイオリンがキレイなんですか?あの、それはどういう感じで?」

夫と鍼灸師さんは沈黙し、鍼灸師さんが口を開きました。

「バイリンがキレイなんです。えーと、ですね、梅の林と書いてバイリンを読んで下さい」

……すみませんすみませんすみません。いや、どおりで話が何か変だと思いました。

「僕の頭をこうヴァイオリンが鈴なりになっている様子が浮かびましたよ。ストラディバリウスとか。おもしろいので、訂正しないでおこうかと思ったんですけど、あんまりかなと思ったんで」

いや、そのような配慮までさせてしまって、本当に申し訳ないです。

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2 Comments

  • takechan より:

    読んでいて、朝ご飯をふきました。
    おもしろかったです。
    「おち」はなんだろう?と思って読んでいましたが、気づきませんでした。
    まさか、梅林だったとは。

  • michy より:

    楽しんでいただいて嬉しいです。「誰もが途中で気付いたらつまらない」と一生懸命にミスリーディング要素を詰め込んだだけはありました。
    …いや、まあ、正直自分一人だと寂しかっただけですが。

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