「ヴィンランド・サガ」にまつわる話
ある深夜、夫は仕事をしていました。妻から携帯にメールが届いています。
「しんどいよー」
あまりのしどさに耐えかねたときに妻がよこすメールのようです。そうは言っても目の前には仕事があり、それは妻も分かっています。夫は、「時間が出来たら励ましのメールか電話でもしよう」と考えながら、もくもくと仕事に取り組みました。
もくもくと仕事をしていると、妻からさらにメールが届きました。
「しんどいので、「ヴィンランド・サガ」に手を出してみる」
…。
脈絡がまったく分かりません。「ヴィンランド・サガ」は夫が常々妻に勧めている漫画です。「プラネテス」の幸村誠の最新作でアフタヌーン連載中です。夫が1巻発売時から買い始めて、もう5巻にもなります。妻は、妻にありがちなことで、今の今まで「絵が気に入らない」だの「戦闘は好みじゃない」だのと言って、まったく手をつけていませんでした。
何故、今!?
いつもながら妻の行動はわけがわかりません。頭が???になりながら、「イカン!こんな妻のいつものバッファ・オーバーフロー攻撃に参っていては仕事が進まない」と仕事に集中していら、妻からまたメールが届きました。
「2巻目を読み終わった これはいい話ですね ぐふ」
夫は、「だから、読めと何度も言ってたのに」と思いながら、「だろ?」というメールを送りました。
「ぐふ」が何かを考えだすと、またもや妻の陰謀に負けそうな気がするので、無視しました。なかなか伝わらないけれども、これも夫なりの妻に対しての優しさなのです。
かなり読み進んだと思われたタイミングで、妻からまたメールが来ました。
「アフタヌーンの片隅でこんな物語が繰り広げられていたとは!」
「…片隅じゃなくて、雑誌でもいい位置にさせてもらってるちゅうねん、片隅は君の脳内だけや」と思いましたが、仕事で忙しいので、返信をするのは辞めておきました。
ふー。今日も忙しい仕事が片付きました。
妻がしんどいと言っていたので、一刻も早く帰ってあげようと夫はさっそく帰途につきました。もうだいぶ遅いし、眠っているかもしれないので、妻に帰るコールをするのは辞めておきました。
ガチャ。家の玄関を開けます。いつもは妻が出迎えてくれるはずですが、出迎えがありません。
あれ?もう眠っているのかな
夫は寝室のドアを開けました。すると、そこにはアフタヌーンを夢中で読んでいる妻がいました。妻はお帰りの言葉もなく、必死な様子で、三言だけ紡ぎました。
妻「ま、待って。あと、少し」
妻は「ヴィンランド・サガ」のコミックスを読み終わってそれだけでは飽き足らずに、家にある「アフタヌーン」をあさって続きを読んでいたようです。
「妻がアホなのには慣れたつもりだったけど、今日は認識を新たにするほどのひどいアホだ。もうアホなのは分かってるから認識は新たにしてくれなくてもいいと何度も伝えてるのにどうしたことだろう。しかし、妻が「ヴィンランド・サガ」の魅力を知ったのはいいことだ。意地をはらずに、さっさと「石の花」も読めばいいのに」と思った夫でした。












ぐふふふ、と笑いながら読ませていただきました。
>「片隅は君の脳内だけや」
ツボでした。
ぐふふふと思って頂いたうえに、ツボったなんて嬉しいご報告ありがとうございます。ぐふふふは重要ですよね(なんじゃそれ